工業高校進学希望者に告ぐ(追記)

こんにちは。10日に24歳になりました。そろそろ、身の振り方も考えなければなりません。

なんとなく、アウトプットの量を増やそうと思った訳なんですが、唐突に増やそうと思ってもなかなかネタが見つからない。やはり、経験を語りつつ、文章化する中で次のものを見つけていくという方がいいかと思いまして、久々にはてなダイアリーを開いたわけです。


さて、最初に書くのは「工業高校」について。私は、工業高校卒業して県内の国立大学工学部に入り、今はその大学院工学研究科の修士課程に居ます。だから、自分の今の立場の大本となった工業高校について書こうと思った次第です。

では、早速本題に入りたいと思います。
そろそろ、中学3年生は志望校についても考える時期だろうし。まあ、実際のところ、そんな人がこのブログ読むわけ無いんだけどさw
そういえば、この間までは工業高校を舞台にした「アスコーマーチ」っていうドラマもやってましたね。

工業高校に入ってくる人間とは

まず、自分の経験を元に工業高校に進学してきた人間の動機を考えてみました。大きく4種類ぐらいに分けられると思います。

ちょうど良い高校がそこだった層
例えば、成績的に入れる高校の上限が工業高校だったり、家からやたら近かったり、といった層です。だいたいの学生はこのようなところだと思います。あと、場合によっては親兄弟の影響ということもあるかも。
スポーツや部活などに魅せられた層
工業高校をはじめとして、専門高校はそこそこ運動部が強かったりします。また、運動部に限らず、部活が盛んだったりします。そういうところをあらかじめ知っていて入部することを目的に入学してくる人たちです。
進学を目指す層
多くの地方国立大学の工学部には、工業高校枠などと言った形で、工業高校卒のための枠を用意しています。センター試験なども、大学によっては普通高校の枠とは別、ということもあり、そう言った優遇策を利用して国立大学入学を目指して入学してくる人々です。
その他
まあ、予想外に第1志望の高校から落ちちゃって、2次試験などで結果的に受かったのが工業高校だったりする人たちですね。俺ですw

必ずしも、工業高校を志したからといって、工学や技術に興味が有る人間ばかり、とは限らない点に注意です。仮に「工学や技術について、高校1年生レベルからみっちりやりたいんだ!」という人であれば、工業高校ではなく、各地の高専への進学をおすすめします。レベルは雲泥の差ですが。

工業高校に入ってから

中学時代にそこそこの成績を収めていた人であれば、学業面で困ることはほとんど無いと思います。良い成績を取りたいと思ったら、やはり勉強する必要はあると思いますが、3年間の平均評定でも3.5は割らないでしょう(5段階の場合)。
工業高校と普通高校の違いで一番顕著なのは、やはり専門科目の存在だと思いますが、多くの場合、レベルは低くても理数系的なエッセンスは必要となってきます。私の専門であった電気であれば、必ず虚数三角関数などは嫌と言うほど出てきますし、そもそもが電気の場合普通高校では物理の中の一分野です。中学などで、数学や理科が苦手だった場合には相当苦労することが予想されますので、「レベルがそこぐらいしかない」という場合はよりしっかりチェックしておいてください。

専門教科があるため、どうしても数学、国語、英語といった普通教科の時間数は普通高校に比べて少なくなってしまいます。その点で、センター試験などでは不利となるのは確実です。たとえば、工業高校に入ったけど、文系学科の方が合っているだろうということで、大学で人文科学、社会科学系の学部を受けようと思ったら、後述する指定校を使わないと厳しいかもしれません。

入学時の動機の違いからもわかるとおり、専門、普通教科ともに、トップと下位での学力差は非常に大きな隔たりがあります。大学のように、単位を落とさせるような授業やテストをする先生は居ませんので、その点では、上位の人間にとって授業はつまらなく感じるかもしれません。ただ、つまらないから言ってなにもしないでいると、あとで痛い目に遭います(←遭ってる人)。特に進学を志す人は、日頃から勉強する癖はつけておいた方がいいと思います。

その他、学生生活などに関しては、男ばっかりです。男子にとっても女子にとっても、そういうことは覚悟しておきましょう。特に男子の場合は工業病と呼ばれる病気*1がありますので、そこのところは注意しましょうw

工業高校では、資格を一杯取らされます。また、ジュニアマイスターなる制度があり、高難易度な資格*2や、数を一杯取ると卒業時に表彰されたりします。進学や就職にも有利になるので、とれるものはとっておいた方がいいと思います。ちなみに高3の時に基本情報落ちたことは、私の残念な過去です…。

進路について

進学、就職と大きく二つあるわけですが、就職難である近年は進学が増えつつあるようです。進学としては、

などが挙げられます。

国立大学については、推薦枠や、センター試験の特別枠を使わない限り、相当に狭き門となります。成績上位でかつ評定の数値もよくないと厳しいものと思われます。ちなみに、私の高校では3年間の平均評定は4.5以上でないと推薦は出してくれませんでした。ただ、同じ推薦枠で入った別学科の人間だと、4.0や3.7といった人間もいたので、目安としては4.0ぐらいなのかもしれません。工学系だけでなく、中学校の技術教諭の養成課程へ進学した人もいました。
私立大学については、高校のレベルなどにもよると思いますが、比較的多くの大学から選ぶことが出来たように思います。一番、高かった評定を要求したのが芝浦工業大学、次いで電気通信大学東洋大学などとなっていたように記憶しています。また、多くの文系学科を選ぶことも出来ますが、いわゆる"Fラン"が多いので、そういうことを意識する人は注意すべきでしょう。また、人によってはスポーツ推薦なども有ると思います。
高専への編入希望は年に全校から2〜3人だったと記憶しています。そもそも、高専の目指す学科に欠員がでないと募集されませんし、試験の難易度も高く、また、入学後はすでに形成されているコミュニティに飛び込まなければならないということで、非常にハードルは高いものです。しかし、進学先や就職先は非常に優秀ですので、一考の価値は有るかもしれません。
専門学校等は、ここでは割愛したいと思います。

就職については、これも比較的整っていたように思います。多くは地元の中小企業ですが、求人自体は各電力会社、鉄道会社や大手のメーカー(多くは工場勤務)などもあり、安定を求めるのであればいいものも多数あります。私が声をかけられたものでは、総合電機のH社から工場勤務ではなくて社内大学へ進まないか、というものもありました。一方公務員などになる人間は少なかったように思います。

というわけで、結論(?)

低コストで、技術が身につく=手に職が付くという意味では、とくに不景気の今はありな選択なのかもしれません。ただ、より深いことなどを身につけようとしたときには、自分で動く必要が有ります。受験の時からその志があるのならば、確実に高専受験をおすすめしたいと思います。

また、自分の経験から言うと、あまりに高校時代が楽すぎて大学に入ってから勉強の仕方に苦労したという事実があります。これは今をもってしてもまだ自分の中で解決し切れていません。成績がよくても堕ちようと思えば、自堕落なまま進学することが可能ですが、その後から響いてきます。ちゃんと考えて行動した方がいいでしょう。

あと、普通の青春したかったら、絶対えらんじゃだめだぜ!

追記(2011-07-12 16:52)

アスコーマーチは簡単にだけ見ましたが、あそこまで金髪とか茶髪の人間は居ません。生徒の力が有り余っているのはわかりますが、それを抑えるだけの生徒指導の力もありました。結構頻繁に持ち物検査などがあったように思います。

また、学科による文化の違いみたいなものは顕著でした。電気科などはやはりオタク性をもつ人の比率が高く、土木科などはとにかくパワフルでした。基本的に3年間同じクラスで学ぶわけなので、自分の適性にあった専門分野の選択や人間関係にはちゃんと気を遣うべきかもしれません。最近では、1年次は共通で学び、2年次から各専門に分かれるということも多いと聞きます。

普通科にない魅力としては、とにかく人間の層が厚いと言うことです。学力の差や向いている方向の違いなどから、いろんな人種の人間に触れることが出来ると思います。そう言う意味ではおもしろい空間であると思います。

カリキュラムの都合上、大学に入って、最低限持っているべき学力に届いていない場合が多々あります。たとえば、数学Cは多くの工業高校ではやらないと思いますが、大学学部1年次から結構行列の計算はやらされたりします。ですので、あらかじめチャート式などで予習しておいた方がいいと思います。幸い、私の高校では、大学進学者向けの補習クラスがあり、そのなかで行列を扱ったりしていました。そう言う意味でも、いつでも相談できる先生を各教科に一人ぐらいずつは確保しておいた方がいいと思います。

*1:これには定義が2種類あって、一つは異性に対するストライクゾーンが広くなる、もう一つは逆に狭くなるというものです。前者は、見境が無くなるということ、後者は、理想ばかりが向上していく、ということを意味しています。また、同様のことは高専や工業系の大学でも存在します。

*2:例えば、応用情報技術者電験三種など